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第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館

貝島桃代がキュレーターを務める第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館展示では、自身に加えロラン・シュトルダー、井関悠から成るキュレーターチームを構成、「建築の民族誌」と題し、国内外の大学やデザインスタジオ、建築家から現代美術作家まで42組の作品を紹介します。

本展は貝島がこれまで取り組んできたプロジェクトの延長線上に当たります。貝島は、フィールドワークを通じて街中にある建物を観察し、そこにある現代人の暮らしのあり方や都市の現実をドローイングを用いたガイドブックとしてまとめる取組みを行ってきました。ユーモア溢れる視点で鋭く都市の現実を切り取ったこのプロジェクトは、使用者の視点で建築の本質に議論を投げかけ、国内外で大きな反響を呼びおこしました。またこれらがうまれてきた約20年は、情報化グローバル化が進み、社会が大きく変化した時代でもあります。

本展は、こうした背景に着目し、この手法に世界中で影響をうけたものや、同時代に世界各地に自然発生した作品、ドローイングを集め、「建築の民族誌」と題し総覧することで、建築と暮らし、建築の役割をはじめとした、わたしたちの社会の未来に関する議論の進化を投げかけます。

CURATOR’S STATEMENT

暮らしは建築を凌駕する。
このことは建築にとってどのような意味をもつのだろう?建築設計の過程や結果にあらわれる無数の状況を、どうしたら効果的に描きうるのか?ドローイングは単なる表記方法を超え、建築を記録し、議論し、評価するためのどんな道具になりうるのか?ドローイングは人々の利用や要望、思いを探求し、現代のグローバル社会での断片化した暮らしの全体像をどのように描きうるのか?
第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展日本館で開催される「建築の民族誌」展は、大学の設計スタジオ、建築設計事務所あるいは美術作家の実践から生まれた、設計詳細図から空間と活動の連関図、ハイブリッドな都市環境図、自然災害後の農山漁村の大規模調査まで、過去20年間、世界各地の42作品を取り上げている。すべての作品がドローイングをめぐる新たなアプローチの探求を映し出している。それらは“of:について” “for:のための” “among:とともに” “around:のまわり”といった英語の前置詞に代表されるような建築との関係性から生まれたドローイングであり、同時に社会についてのドローイングでもある。私たちはこれを「建築の民族誌」と呼ぼうと思う。
[貝島桃代、ロラン・シュトルダー、井関悠]

出展者:

ABOUT THE CURATORS

貝島桃代(1969年、東京都出身)1991年、日本女子大学卒業。1992年、塚本由晴とアトリエ・ワン設立。1994年、東京工業大学大学院修士課程修了。1996年‐1997年、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)奨学生。2000年、東京工業大学大学院博士課程修了。2000年‐2009年、筑波大学講師を経て、現在同大学の准教授を務める。2012年、the RIBA International Fellowshipに選出。2017年より、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)にて建築振る舞い学教授を務める。
その他、2003年及び2016年、ハーバード大学デザイン大学院客員教員。2005年-2007年、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)の客員教授。2011年-2012年にデンマーク王立芸術アカデミー、2014年-2015年にライス大学、2015年-2016年にデルフト工科大学。2017年にコロンビア大学の客員教授を歴任。
数々の建築設計プロジェクトに携わる一方、「メイド・イン・トーキョー」や「ペット・アーキテクチャー」のように、建築を通じた都市に関する調査を多数実施。

ロラン・シュトルダー(1970年、ローザンヌ出身)1996年、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)卒業。1996年-1997年、奨学金を得てスイス考古学建築研究所に在籍。1997年-2001年、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)建築学科建築史理論助手(2012年に博士号取得)。同年、カナダ・ケベックのラバル大学歴史学部にて建築史の助教に就任。2006年、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)建築理論・建築史研究所の助手となり、2011年より同研究所の准教授を務める。2009年、マサチューセッツ工科大学の客員研究員。2016年より、スイス連邦工科大学チューリヒ校(ETHZ)建築理論・建築史研究所の所長を務めている。

井関悠(1978年、長野県出身)2003年、千葉大学卒業。その後、秋吉台国際芸術村企画課、横浜トリエンナーレ2005アシスタント・キュレーター、資生堂ギャラリー学芸員、ヨコハマトリエンナーレ2014コーディネーターを経て、2014年12月より水戸芸術館現代美術センター学芸員。

ABOUT THE COMISSIONER

第16回ヴェネチア・ビエンナーレ国際建築展 日本館展示の主催者及び日本館のコミッショナーである「独立行政法人国際交流基金」は、世界の全地域において、総合的に国際文化交流事業を実施する日本で唯一の専門機関です。1972年に外務省所管の特殊法人として設立され、2003年10月1日に独立行政法人となりました。海外に23か国・24の拠点を持ち、「日本の友人をふやし、世界との絆をはぐくむ」をミッションに掲げ、世界の人々と日本の人々の間でお互いの理解を深めるため、さまざまな企画や情報提供を通じて人と人との交流をつくりだしています。

WORKS

Momoyo Kaijima, Exhibition Design Drawing, 2018 (© Momoyo Kaijima)
Yukiko Suto, W House – Entrance Side, 2010 (© Yukiko Suto, courtesy of Take Ninagawa, Tokyo)
GSA Unit 14 / University of Johannesburg, Trojan Bus from: Rogue Economies: Revelations and Revolutions, vol. 1, 2017 (© GSA Unit 14 / University of Johannesburg)
Andrew L. Jenner with John Braben, a drawing from: The Building of the Queensland House: A Carpenter’s Handbook and Owner’s Manual, 2013 (© Andrew L. Jenner, John Braben)
Drawing Architecture Studio, a drawing from: A Little Bit of Beijing: 798, 2013 (© Drawing Architecture Studio)
Éva Le Roi, a drawing from: Coupe!, 2008 (© Éva Le Roi)

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